ビバ! モロキニ

いつもはオアフのビーチでゴロゴロしているハナウマボーイですが、ひょんな事から2001年のゴールデンウイークにモーハワイコムの編集長へなちょこ・しゅん氏とマウイ島に遊びに行く事になりました。氏は男ですが決してあやしい関係ではありません。いやしかし。

マウイと言えばモロキニ島スノーケリング!前から行きたいとは思っていたのですが、いつも一人旅なものでなかなかマウイに行く機会がありません。こんなチャンスは滅多に無いという事で編集長を引っ張り出し、モロキニ島へGo!

【モロキニ(Molokini)島】
マウイ島の南海岸の沖合い約4.5Kmに浮かぶ三日月の形をした小さな無人島です。マウイ島随一のスノーケリングスポットで、風の弱い午前中を中心に多くのツアー客を乗せた船で賑わいます。
1977年ハワイ州で4番目のの海洋生物保護区(MLCD:Maline Life Conservation District)に指定されました。ハナウマベイと同様に湾内では生き物の捕獲や餌付けはもちろん、珊瑚や砂などあらゆる自然物の持ち出しが禁止されています。

【関連サイト】

ハワイ州土地自然資源局モロキニ解説ページ(英語)
http://hawaii.gov/dlnr/dar/coral/mlcd_molokini.html

6時起床。モロキニのツアーは朝が早いことで有名です。朝飯もそこそこにレンタカーを飛ばして船が出発するマアレア(Maalea)港まで向かいます。天候は生憎の曇り空。ハレアカラの山頂も霧の中に消えています。が、編集長はやたらと上機嫌。ラジオから流れる音楽にあわせ時々雄叫びをあげます。
7時に港に到着。ここは各種マリンツアーの基地で、沢山のレジャーボートが集まる場所です。その中から今回予約したツアー会社の船を発見。出発まで暫し待ちます。
それにしても寒いの何のって!ここは地形の関係で強い風が吹き付けます。編集長、震えています。辺りの人もバスタオルにくるまってテルテル坊主みたいです。海関係のツアーに参加する際には薄手でも良いので長袖を着ましょう。
7時半、マアレア港を出航。沖合いに浮かぶモロキニ島を目指します。この船は双胴船(カタマラン)タイプの船で、排水量の割に揺れにくい構造になっています。最初はゆっくり走っていた船も徐々にスピードを上げ、白波を立てながら快調に進んでいきます。先ほどまで強く吹いていた風も岸から離れるに従い弱くなっていきます。
船の前方は欧米の人、後方は日本人が陣取ります。これはそれぞれ説明をする場所が違うからです。

編集長とハナウマボーイは寒がりなのでキャビンの中に座ります。外国の人達はみんな平気な顔をしています。不思議だぁ。
キャビンの中にはマフィンやフルーツ、飲み物等、簡単な朝食が用意されています。朝が早いモロキニのツアーならではの嬉しいサービス。
朝食はある程度食べておいた方が良いです。空きっ腹だと気持悪くなりますし、食べると身体が温まります。かといって食べ過ぎは禁物。消化の良くない物(パイナップルなど)や酸っぱいものは避けるようにしましょう。「オェッ」ときます。
しばらくするとウエットスーツやカメラのレンタルの説明が始まります。
■ウエットスーツ(シーガル)$10
■度付きマスク$10
■防水カメラ$20 など。
..ちと高いかな。シーガル6回借りたらハワイでは新品が買えちゃいます。
編集長は説明そっちのけでコーヒーを飲みながら海をポカーンと眺めています。実はこれが大切。船酔いは身体が感じる揺れと、目から入る情報が矛盾する事により起きます。遠くを見ていると目と身体の両方で揺れ感じるので酔いにくくなります。反対に船の上で本なんぞを読むと一発で酔います。酔った時には寝ころがって目と閉じるのも効果的。(目からの情報が途絶えるため。)
船の後方は排気ガスのニオイがしたり、景色がよく見えないのであまり良くありません。一方、船の中央付近は揺れも小さく、ベストなポジション。ムムム、編集長、タダ者ではない。しかし....何故鼻でコーヒーを飲む!?
編集長:「あ、クジラや!ほれ、あそこ!」
やがて船の後方では詳しい説明が始まります。編集長は相変わらず聞きゃしません。
編集長:「何て言うてたん?」...しょうがないので聞きかじった事を説明します。
■必ずライフジャケットをつける。
■怪我の防止と珊瑚を傷つけぬよう、身長より浅い場所に近づかない。
■島と船の間の海域を泳ぐ。
■指輪は落としやすいので外す。
■ゲロはトイレでなく海に吐く(!?)

その頃船の前方では欧米人向けに熱心に防水カメラのレンタルを勧めています。
説明役:「このカメラはシュノーケリングピッタリ。その理由は..皆さんハイッ!」
ツアー客一同:「フラッシュが付いているから〜〜ッ!」

...外国のテレビショッピングを見ているような気分になりました。
出航から約1時間、念願のモロキニ島に到着です。船が停泊したのは三日月の真ん中辺り。さすがに沖合いに浮かぶ島だけあって驚く程澄み切っています。透明度50mというガイドの説明もうなずけます。
カラフルな魚の
姿も波間にチラホラ。出航の時あれだけ吹いていた
風もすっかりおさまり、太陽も出てきました。これは絶好のコンディション!早速海の中に入ってみます。
「ドボン。」「うわっ冷てぇ!」
...水温は約20度(ツアーガイド談)。オアフでは経験した事も無い冷たさ。(ハナウマは大体24〜27度。)ぜひシーガルのレンタルをオススメします。

(この日は穏やかな日だったのですが、数名の方が船酔いでダウン。)
海の中はご覧の通り!凄い魚の数です。中層を泳ぐカラフルな魚に思わず目を奪われます。船の真下で水深は大体6m、島に向かって徐々に浅くなり、島の縁で一気に岩が立ち上がります。
不思議な事に船が着くと同時に魚が周りに集まってきます。魚は餌の無い場所ではこのように群れを作り、一定の個所に留まる事は殆どありません。ちょっと解せないけど、まいっか。ちなみに集まっているのは
ムレハタタテダイチョウハンソロイモンガラ
です。それにしてもこれだけの数の魚が揃うと圧巻と言わずにはいられません。いつもはすぐ飽きてしまう編集長もご満悦の様子。(右手、変ですぜ。)
海底に目を移すとそこは一面の珊瑚で、これが島の縁まで続きます。島の周りには殆ど砂地はありません。ハナウマベイのウイッチーズブルー付近の様子と似ています。
もうちょっと接近して撮影したかったのですが、ライフジャケットを着せられている上にウエイトを持って来てなかったのでプカプカ浮いてしまい...残念。

写真はハワイの海ではおなじみのハマサンゴハナヤサイサンゴ。中央に見えるのはパイプウニ。すぐ脇をミヤコテングハギが泳いでいます。この他、キイロハギやハワイ州の魚タスキモンガラ(フムフムヌクヌクアプアア)、ベラやブダイも目にする事ができました。

船の周りを泳いでいると突然見覚えのある大きな魚が前を横切りました。
「イスズミ?餌付け禁止のモロキニに何故!?」

餌付禁止前のハナウマを訪れた人なら見覚えがあるのでは。この魚は人が撒く餌を好んで食べる魚で、かつてハナウマの波打ち際にも沢山いました。
やがてこの魚は大きな群となって水面近くに集まり、激しくぶつかり合いながら何かを食べ始めました。つられて他の種類の魚も集まってきます。何事かと海面から顔を出して見上げるとそこには...
船の上から涙目で海面を見つめる苦しそうな顔が(T_T)
うへっ。ひとまず退散。これで何故あれだけの魚が、しかも船の周りに集まって来るのか分かりました。
大いなる食物連鎖。船酔いとモロキニの魚は切っても切れない関係にあるのでした。
30分ほど泳いだところで編集長はギブアップ。ハナウマボーイは3mmの厚さのシーガルを着ていたので大丈夫だったのですが、薄々のラッシュガードしか着ていなかった編集長は紫色の唇+鳥肌。
「あかん!むっちゃ寒いねん。さぶイボ出てるし。」
そりゃそうだ。あの水温です。
「濡れたシーガルを脱いで身体を拭いて、何か食べれば大丈夫。」
暖かいコーヒーとハムサンドを手に「むっちゃうまい!」を連発する編集長。
周りを見るとさっきよりも船酔いの人が増えてます。スノーケリングに慣れてないと波に揺られる間に酔ってしまう事があります。
1時間ほどスノーケリングを楽しんだ9時40分、モロキニ島を後にします。途中、カメが沢山泳いでいるマアレア港の沖合いで暫しカメを観察します。

大きいの、小さいの、波間に数匹のカメが漂っています。時々海面の上に顔を出して息をします。そう。カメは肺呼吸をする生き物なんですね。それにしても彼らはここで何をしているのでしょう。食べ物もあまり無さそうなのに。不思議。

カメを見た後は甲板でスタッフが海で見つけてきた生き物の説明会が始まります。袋の中からどんな生き物が出て来るのかみんな興味津々。左の写真はタコの説明をしているところ。顔に貼り付けて遊んだりしています。この他、シラヒゲウニパイプウニフムフムヌクヌクアプアア、カニなど、日本語・英語両方で解説してくれます。右の写真はパイプウニを頭に載せて貰っているとろこ。題して「自由の女神」。
12時にはマアレア港に到着。楽しかった。
【モロキニに行ってみて】
バツグンの透明度と凄い数の魚。船酔いさえ克服できればとても満足度の高いシュノーケリングスポットだと重います。行った事が無い人には特にオススメ。
ただ、残念なのは泳げる範囲が狭い上に地形が単純なため、そこに住む生き物のバリエーションが限られる事。30分も浮いてると飽きてしまいました。
また、餌付けが禁止されているとはいえ、実際は人間が落とすパン屑や吐瀉物に依存した生態系が出来上がっています。ツアーの船が沢山入っているため仕方が無いとは思いますが、自然の中の生き物をそっとのぞき見るという楽しみに欠けます。確かに楽しかったのですが、水族館にいるような気分になってしまうのです。魚の生態を観察するのであればマウイ島カアナパリのブラックロックやハナウマ湾の岩礁の外の方が却っておもしろいのでは。魚の種類も多いですし。
船頭さん、モロキニに関しては停泊時間が長い上に沢山の船が集まります。生態系の事を考えて「オエ」袋を用意した方が良いです。

でも、楽しかったです。サメ(おとなしいやつ)やエイといった大物もやって来る事があるそうなので、機会があったらまた行きたいと思います。